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オンライン小説『リバウンド』-039 レナの朝。
ひりひりと乾いて空が高く見える朝、レナは自宅から40分ほどの駅におりた。改札をでるとすぐにこぎれいなカフェや、雑貨を売るお店や犬の洋服などを売るお店が連なっていた。雑誌の紙面のようだと思ったが、雑誌の紙面のような生活とはどんなものかわからなかった。ウェブ画面をプリントアウトした地図を見てスーパーの横の坂道を上った。ひとりで病院にいくのは慣れていたがもういくつめの病院だろう。…
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オンライン小説『リバウンド』-038 レナ。
「その腕どうしたのよ?」レナはシャワーをあびて、Tシャツ姿でポカリスエットを飲んでいるところで母親と遭遇した。なんで今日家にいるの?「なんでもない」…
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オンライン小説『リバウンド』-037 脅しのメールがやって来た。
インターネット黎明期にワンクリックサギという仕掛けが流行したことがある。当時は新手の犯罪というような扱われ方をしたが別にそんなにすごいものではない。メーリン…
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オンライン小説『リバウンド』-036 リタの記事が掲載される。
リタは映像をデスクに見せた。この手のものは週刊誌向きだし部数に直結する。しかし、医者のコメントが取れていない医療系記事は慎重にあつかわなくてはならない。あら…
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オンライン小説『リバウンド』-035 ユウジンの電話。
エビスのスタバで会った男の話しを記事にしたいが、医師のコメントが取れないことには掲載できず滅入っていた。大きな塊が沈んでいる予感がするが、巧妙に隠されている…
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オンライン小説『リバウンド』-034 リタ、コヤマ医師に取材。
リタは郊外にあるコヤマ医師のオフィスを訪ねた。彼はアメリカで医療に従事した経験を持ち、ダイエットから精神医学までラディカルな切り口でたびたびマスコミに登場し…
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オンライン小説『リバウンド』-033 エス市のカンファレンス〜コヤマ。
会場では救急車とパトカーとレスキューとあろうことか銃を携帯した特殊部隊まで来る騒ぎとなった。服毒し先を詰めた散弾銃で自分を撃った男はノイローゼで通院歴があっ…
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オンライン小説『リバウンド』-032 ユウジンのDVD。
早い夏、小雨が降ったりやんだりするきまぐれで肌寒い朝。都市生活者は上着を脱いだり着たりする必要がある。地下鉄のホームにはこの時期特有の宿命的な黒っぽいカビの…
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オンライン小説『リバウンド』-031 カワムラの会議
じめじめとした日が続いていた。カワムラは会議室で気分が悪かった。昨夜のサケが残っている。このところ飲みだすととことん飲んでしまう。「それで、どうするんだ…
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オンライン小説『リバウンド』-030 リタと会う。
土曜日の午後、エビスはひと通りが少ない。周囲の事務所が休みなのだ。ベビーカーを押したママさん達のお散歩。裕福そうな紳士。高そうなジャージを着た外人女子。ちょ…